アウトプットノート

物語、本、歌詞、表現を中心とした頭の中のメモノート。

短気は損気

 古典教材「小野の広才」を読んだ時、小野篁より嵯峨天皇の人物造型が気になったのはドラマ「イサン」の影響かもしれない。チャングム、トンイはいずれも虐げられてきた身分の主人公が才能を認められていく話だが、イサンは主人公が王様であるから、才能を見極める側の人物なのだ。己の命を狙っている者だと承知の上で、朝廷の重臣に登用することもあった。その度量と生き様が生き生きと描かれる一方で、危険な賭けをせざる得ない王の立場という不憫さも同時に感じることができた。  

 小野篁の話に戻すと、立札事件の黙認が嵯峨天皇にとって吉と出るか凶とでるか。初読の際、嵯峨天皇が小野に斬りかかるような暴君であれば決して成り立たない話だな、と感じたのは時代劇スキーマが呼び起こされたからかもしれない。

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